2010年7月11日日曜日

ゾウの時間 ネズミの時間

サブタイトルにサイズの生物学とかかれているとおり
生物の体の大きさと、寿命などの性質について述べられている本。
この本の結論は、
体の大きさによらずに決まる、一般的な定数が存在する。
ということだった。

冒頭では、ゾウの寿命が長く、ネズミの寿命が短いのは、
実は一生の心臓の鼓動の回数は決まっていて、
寿命の差は心拍の早さが違うからだと言っている。

でも、ゾウとネズミの話ばかりしているわけではなく、
微生物や虫、サンゴなど、かなり広範な生物を取り上げて、
サイズの差による生物の戦略の違いを論じている。

たとえば、1 mm以下の生物 (細胞とか)では、
栄養は水中の拡散だけで放っておいても体中に広がるが、
サイズがもっと大きくなるとそれだけでは間に合わない。
したがって、循環器系が発達したはずだ。
とかが書かれていておもしろい。


ミスリーディングな結論を導いておいて、
「でも、実は、今の結論はこういう点でおかしい」
と、論理をひっくり返すところが散見され、
鵜呑みにしないように読んでほしい意図がうかがえる。



縦書きの文章で計算している箇所が多くところどころ
暗算でついていけない所があったが、
総じておもしろかった。



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